「カナノヒカリ」 935ゴウ (2007ネン ハル)

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日常 つかわない 漢字が 不得意? ―― ならば どう する
〜 小・中学生の 学力調査の 結果が しめす もの (つづき)〜

                                             キクチ カズヤ 


   
  前々号に ひきつづき、文部科学省 国立教育政策研究所に よる 「特定の課題に関する調査」の 調査結果に ついて かんがえて いきます。

  今回は、漢字学習に 関する 小・中学生の 意識、意欲を とりあげて みましょう。 これに ついては 調査結果の ポイントと して、ツギの ように まとめられて います。

○ 児童生徒の質問紙調査では、全学年を通じて、概ね「漢字は日常生活で必要だ」と 感じているものの、あまり「漢字の学習が好きだ」と思っておらず、家庭での練習もなされていない状況。

数字で みて みましょう。 (「そう思う」+「どちらかといえばそう思う」の 回答。 単位は %。)

    質       問 小4 小5 小6 中1 中2 中3
漢字は日常生活の中で必要だ 88.8 90.2 92.2 91.1 91.1 90.9
漢字の学習が好きだ 62.5 57.7 54.1 49.9 45.4 50.3
家庭学習で漢字の学習を一生懸命やっている 59.7 53.1 49.1 32.5 23.6 23.0

 【漢字は日常生活の中で必要だ】

  全学年を つうじて おおよそ 90%が 肯定的な 回答を して います。 現在 日本語の  通常の 表記法が 漢字カナマジリで ある ことが ただしく 認識されて いる 結果と いえる でしょう。 なお、その ウチワケは、「そう思う」が 62.5%、「どちらかといえば」が 28.3%(全学年の 平均)と なって います。

 【漢字の学習が好きだ】

  おおむね 半数 以上の 小・中学生が 肯定して います。だだし、ウチワケは、「そう思う」が 19.9%、「どちらかといえば」が 33.4%(全学年の 平均) です。 この 数字を どう とらえる べき でしょうか。 この 調査では、おおくの 教師が 「漢字指導に力を入れている」と いう 結果も でて います。 (小4で 95.3%、中3で 77.4%の 教師が 肯定的な 回答。)したがって 漢字に 関心を もたせる 指導も クフウが こらされて いる でしょう。 また、小・中学生は 好奇心が オウセイな トシゴロ ですし、学校で ならう こと ですから 当然 漢字の 学習が 有意義な もので あると 信じて いる こと でしょう。 にも かかわらず 「漢字の学習が好きだ」 と いう 回答が 「漢字は日常生活の中で必要だ」と いう 回答を オオハバに シタまわって いるの です。 漢字の 学習の 困難さの ゆえでは ない でしょうか。

 【家庭学習で漢字の学習を一生懸命やっている】

  ウチワケは、学年ごとの 差が おおきい ので ここには しめしませんが、いずれの 学年 でも 「そう思う」が 「どちらかといえば」を シタまわって います。 合算 しても 「漢字の学習が好きだ」 よりも さらに すくなく なって います。 学年が すすむに つれて いちじるしく へって いき、中3では 小4の 4ワリ以下まで おちこんで しまいます。これに ついての 要因は いろいろ かんがえられる でしょう。 おぼえた 漢字が ふえて いくに したがって あらたに 漢字を まなぶ 必要性が とぼしく なるのか。 高校受験を マエに して ほかにも まなばなければ ならない ことが おおく なる ため なのか・・・。

  これら 3つの 質問に 対する 回答の フツリアイに ついて、文部科学省は なんらかの 対策を 講じて 改善すべき 問題 と とらえる でしょうが、ワタシは、日本語の アリカタ ソノモノの 問題で ある と かんがえます。

  この 調査で、小・中学生は 日常 つかわない 漢字が 不得意 と いう 結果が でた ワケ ですが、モチロン その ような 漢字でも 不得意と しない 小・中学生も います。かれらは、おそらく 「家庭学習で漢字の学習を一生懸命やっている」に ちがい ありません。 では、そういう コドモタチは、どの くらいの 時間を かけて 漢字を 学習して いるの でしょうか。調査結果の 「概要」、「ポイント」 では ふれられて いませんが、「1日に家庭でどのくらい漢字の 学習をしますか」と いう 質問項目が あります。その 結果は、1日 30分以上 1時間未満が 小4で 26.6%、中3で13.7%、1日 1時間以上が 小4で 17.7%、中3で10.9% と いう 数字 です。 中3でも おおよそ 4人に ヒトリが 1日 30分以上 漢字の 学習を して いる ことに なります。

  かぎられた 学校外での 学習時間、まなぶ 科目は いくつも あるのに 国語、それも 漢字の 学習だけに これだけの 時間を あてて いるの です。 表音文字 ならば 最初の 1学年で すむ 文字の 学習。 それを 漢字で あるが ゆえに ここまで しなければ ならない、と いうのは、先入観 なしで かんがえれば 実に ばかげた ことでは ない でしょうか。 小・中学生が 不得意な 漢字が あるのは、コドモタチの 責任でも 教師の 責任でも ない でしょう。 あきらかに 漢字と いう 文字に 欠陥が ある と いう ことなの です。

  日本語の 表記法を もっと やさしく すべき です。 漢字や 漢字コトバの ムズカシサは、高等数学などの それとは ことなり、意味の ない ムズカシサなの です。「改行」で なく 「行がえ」では いけない でしょうか。 「挙手」で なく 「手あげ」で いけない 理由が ある でしょうか? コトバらしく ない でしょうか? 「手あらい」は リッパな 日本語と して 通用して います。 「洗手」など とは いいません。 固定観念は すてるべき です。


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