「カナノヒカリ」 875ゴウ (1996ネン 2ガツ)

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新聞は現地読みを表記せよ

                                             キクチ カズヤ 


   

1 なぜ 新聞は 現地ヨミを 表記しないのか

  1995年 4月22日ヅケ 読売新聞 朝刊の 解説の ページに 「現地読み」と 題する 不可解な 記事が のった。
  韓国大統領の はじめての 日本訪問を 2か月後に ひかえた 1984年の 7月ヨッカ、安倍 外務大臣は 中国人と 韓国人の ナマエには 現地ヨミを つかうよう 外務省に 指示した。読売新聞も これに ならい、韓国人の ナマエは 現地ヨミを つかって カタカナで 表記する ことに した。トキを おなじく NHKも 現地ヨミを つかうように なった。と 現地ヨミが おこなわれる ように なった 経過を 説明すると ともに 外務省の 決定を 「ひとつの国際化」で ある と 評価し、さらに 中国の 人名や 地名にも 現地ヨミを 実行すべき との 意見を 紹介して しめくくって いる。
  この 記事の カキカタでは、イマでも 読売新聞は 現地ヨミを もちいて いるように しか とれないが、実際は ホカの 新聞と おなじく 中国人や 韓国・朝鮮人の ナマエは 漢字で 表記するだけで ヨミカタを しめして いない。この 記事は 現地ヨミに ついて 解説し、評価さえ しているのに、それを 実行して いない 理由に ついて なにも ふれて いないので ある。どう 理解したら よいのだろう。ワタシが 「不可解」と いったのは この ことで ある。これを かいた 記者にも 説明の しようが なかったのでは ないか。

2 韓国・朝鮮人の ナマエは 現地ヨミ するのが 当然

  日本の 新聞は 韓国・朝鮮人の ナマエは 漢字で 表記するのみで ある。おそらく よめなくても よい と おもって いるのだろう。韓国・朝鮮での 漢字の ヨミカタを まなんだ ヒトで なければ よめないの だから。
  とはいえ まったく ヨミカタが しられて いない ワケでは ない。だが それは テレビや ラジオで 「ノ・テウ 前大統領」、「キム・ジョンイル 書記」と 現地ヨミを して おり、それが アタマに しみこんで いるからで ある。しかし それほど 有名で ない ヒトの ヨミカタは わからないし、テレビや ラジオで 現地ヨミの ナマエを きいても その 人物と 新聞に かいて ある 人物が おなじ ヒトか どうか わからない。
  一方、韓国の 新聞は 日本人の ナマエは ハングルで 表記して いる。
  北朝鮮でも オナジで ある。そもそも 北朝鮮では 日常生活では もう 漢字を つかって いない。(だから 漢字での カキカタが しられて いない ヒトも いる。それでも 日本の 新聞は 漢字を つかおうと するから おなじ 記事の ナカで 漢字表記と カタカナ表記を まぜて かいたり しなければ ならなく なったり する。) 韓国・朝鮮人の ナマエの ヨミカタを しめさない と いうのは 読者に 不親切で あるだけで なく、なによりも トナリの クニの ヒトビトに 失礼では ないか。
  新聞は 韓国・朝鮮の 人名は(そして 地名も)現地ヨミを カタカナで 表記すべきで ある。漢字の 表記を しめしたければ、「キム・ヨンサム(金泳三)大統領」 のように カッコで しめせば よい。どうしても 漢字の 表記を 中心に したければ 最低限 フリガナを つけるべきで ある。最近 読売新聞は ルビが 印刷 できるように なったのを キッカケに、常用漢字 以外の 漢字を フリガナをつけて 堂々と つかうように なったが、その 技術を 現地ヨミに いかして いただきたい もので ある。

3 中国人の ナマエも 現地ヨミで

  中国の 新聞や 出版物では 日本人の ナマエは 漢字の まま つかい、中国式に よませて いる。 それでも 音ヨミを する ナマエなら イクブン モトの オトを 連想させる バアイも ある(「アンドウ(安藤)」なら 「anteng」)が、訓ヨミを する ナマエだと まったく 別の オト(「ヤマモト(山本)」なら 「shanben」)に なって しまう。カナの ナマエだと(「みどり」なら 「緑(lu)」のように)翻訳されて しまう。こんな ふうに よばれたら 自分の ことだ とは とても おもえない だろう。しかし このことに ついては ツギのような 事情を かんがえる 必要が ある。
  中国語には 日本語に おける カナや 韓国・朝鮮語に おける ハングルに 相当する 便利な 表音文字が ない。ピンインと よばれる ローマ字ガキの 方法も あるが イマの ところ 日常生活で つかわれて いる ワケでは ないし、漢字と ローマ字を まぜて つかう と いう ことも おこなわれて いない。また、日本人の ナマエを 表記するのに 別の 漢字を あてる と いうのも まぎらわしいから、日本人の ナマエを モトの 発音どおりに 表記する ことは ほとんど 不可能と いえる。
  中国人が 自分の ナマエを 日本式に よばれて さして 気に しないのも 自分タチに できない ことを アイテに 要求 できない と いう ことも あるのだろう。
  だからと いって 日本の 新聞も(そして 放送局も)現地ヨミを しなくて よい と いう ことには ならない。日本語には カナと いう 便利な 表音文字が あるのだから、現地ヨミを カタカナで 表記するべきで ある。 


〔原文は、「カタカナひらがな交じり文」〕


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